残暑はどこに?

社会福祉法人久栄会副施設長の江頭です。

9月上旬より朝夕が涼しくなり、台風が来て日中も涼しくなり、夏がいつの間にかどこかに行ってしまいました。暑くて嫌だと言っていたのに、いざ寒くなると毛布を出したり、衣替えをしたり、暖房を用意したりと、それはそれで面倒くさいこともあります。

当法人では、今年も色々ありましたがなんとか半年過ぎようとしています。9月30日に「ふれあい祭」という一番のイベントが控えている状況ですが、最近は学生ボランティアさんの協力等があり、準備や片付けも順調に推移し、比較的落ち着いて運営ができています。高齢化・少子化・労働力低下など、色々叫ばれていますが、結局は横のつながりにより「さざんか園」が成り立っている事をこのようなお祭りなどがあると強く感じます。

話はそれますが、9月14日(木曜日)に園内研究発表といい、事業所から一例ずつ研究発表をしてもらいました。介護福祉士などの有資格者の割り合いが当法人では現在8割近くなっていることもあり、少しずつ発表のレベルも上がり、数年の蓄積したデータを棒グラフで示したり、しっかりと数カ月の研究を論理的に説明することができている事業所も増えてきました。

現在介護の世界はまだまだ「学問」としては成熟しておらず、経験則でやっている事をむしろ認めているところも多い印象です。確かに人生経験のある職員のコミュニケーション能力を含めた人間力・総合力に若い介護職員が圧倒されてしまい、「学問」としての介護を放棄し、経験に頼った介護を中心にしてしまうことも多いかもしれませんが、何故その介護をするのか、結果どうなったのか、そしてこれからどうするのかという論理的思考のもとに仕事をしないと、その場しのぎの対応になり進歩はないと思います。

もともと介護福祉の業界が、ボランティア精神の強い人が多く、介護事業所を開いた施設長・経営者の多くが、弱い人を助けてあげたいという気持ちを持っていると思います。ただ今の日本のように世界一高齢者率が高い現状において、ボランティア精神だけで介護事業所を運営することはできず、しっかり確立した「学問としての介護」が必要になっています。それが味気ないと思われる人もいるかもしれませんが、経験をうまく知識に変換し、それを次の世代にしっかり引き継ぐことをしないと、レベルは上がらないと思います。

介護業界の虐待のニュースが取り上げられるたびに、しっかり介護をしている職員も一緒に否定されているようで心苦しく感じます。立派な介護のプロを多く作り出し、どの業界にも負けない知識・技術・プライドを持った人たちを作り上げる事がこの業界の求められている責務だと思いますし、私もその一助になればと思います。